ジオン水陸両用モビルスーツを愛でる会
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2005/05/29 初版 2005/05/31 1.2版
2005/06/05 1.3版 2005/06/15 1.4版
2005/10/26 1.5版
(近日更新部青色

1「ジオン水陸両用MSとは」の頁へ戻る



水陸両用モビルスーツ考 1 [ガンダムのリアルさ] [登場経緯] [その後]
 「水陸両用モビルスーツ」誕生の経緯とその後

機動戦士ガンダムシリーズのリアルさ

 機動戦士ガンダムシリーズが一世を風靡した、そして2005年現在ですらそのシリーズの末裔が続いているであろう理由にはいくつかあると思われるが、その大きな一つには「モビルスーツ」とその周辺設定の斬新さがあったであろう、と高崎は考えている。

 「機動戦士ガンダム」が日本アニメ史の中で重要視される理由としてはリアル系ロボットもの」というアニメ分野を切り開いた作品だったことであるが、この「リアルさ」という点はもともとロボットがリアリティあったということではなく、ストーリーや全体的な設定の特徴を示していた。

 すなわちストーリーの点に関して言えば、単にそれまでのアニメでありがちだった「悪者が出てきて正義の主人公がそれを退治する」という単純なものではなく、「一年戦争」と呼ばれる地球と宇宙植民都市を舞台にした国同士、そこで活躍する人間達同士の複雑なドラマを描くのが話の中心であったし、設定に関して言えばガンダムの主な舞台となる宇宙の植民都市「スペースコロニー」はNASAが計画した宇宙都市計画に基づくものだったり(※1)、兵器として人間型ロボット(すなわち胴を中心に頭と手足がついている)でなければならない理由をわざわざ設けていたこと(※2)などだ。(※3)

※1 当時宇宙に関心があった私としてはNASAで計画しているスペースコロニーと機動戦士ガンダムでのスペースコロニーが全く同じ形であることに子供心に驚いたものである。
※2 ミノフスキー粒子が太陽系に広がったために有視戦闘が可能な兵器が必要になった為...など
※3 機動戦士ガンダムの物語の各種魅力、当時の新鮮さに関しては「文芸ジャンキー・パラダイス」の「熱血解説!ガンダムの魅力」で熱く語られているので参照されたい。

 そのようなリアル路線は、「リアル系ロボットアニメ」ではあくまで「脇役」にしか過ぎないとは言え、各種ロボットの設定についても「リアルさ」への追求をもたらしたことは当然のことであった。
 そしてガンダムに登場するロボットの設定の中で、もっともリアリティを感じさせたものがジオン軍モビルスーツのデザインにあったと私は考える。


モビルスーツ「グフ」の頭部部分(これはアニメではなくてプラモデルだけど)。顔を横切るフレキシブルチューブ(右上)、コックピットに画像を送るためにグリグリ動くモノアイ(左下)、排気ダクトなど(右下)、ジオン軍のモビルスーツには特に「ホンモノの機械っぽさ」が出ている部分が多い。

 今でも思うのであるが、初代機動戦士ガンダムの「地球連邦」や続編「機動戦士Zガンダム」での「エゥーゴ」のモビルスーツ、すなわち「正義側」のモビルスーツは、それまでのスーパーロボットもの」の系統を受け継いでいて、装飾華美でオモチャっぽく、斬新さがそれほどない。カラフルな色系統で成り立っているのも、当時流行っていた超合金などと同じく、非常に安っぽいものになっている。

 これは私だけが受ける印象ではない。「文芸ジャンキー・パラダイス」の「アニメ『機動戦士ガンダム』はなぜ名作なのか?」によれば、富野喜幸監督はアムロの乗るガンダム(RX-78型)を白一色にすることを予定していたのだが、おもちゃ会社から(商品化の際に)「これでは売れない」と言われて「ヤケクソで赤、黄、青という『信号機カラー』にした」という。すなわち富野監督も主人公モビルスーツであるガンダムRX78が「おもちゃのような、安っぽいカラーリング」になってしまったことを感じていたということだ。

※白一色にしようとしていたのはスターウォーズで共和国軍と帝国軍の兵器や乗り物が白か黒で統一されたデザインが多かったことによる影響だという。

 それに対してジオン軍のモビルスーツはフレキシブルなパイプ構造の露出、いかにもセンサーっぽいモノアイ、迷彩色の一つを思わせるザクの地味な色合いなど、
「オモチャじゃなくて実用重視でデザインされた感じ」
というイメージすなわち「リアルな感じ」を与えた。

●舞台が変わる中で

 さて、富野監督としては「機動戦士ガンダムはあくまでリアルなストーリーをウリにする作品」であるから、それまでの「スーパーロボットもの」のようにいろいろな種類の敵(というかモビルスーツ)が出てくる必要は感じず、最後まで一種類の敵「ザク」で通そうと考えたこともあったようだが、「おもちゃ」の売り上げのために主役ロボットのカラーリングにまで口を出した協賛メーカーがそれを許すはずもなく、また監督もひたすら一機種で通すのも無理があると考えたのであろう、TV版10話目代に入ってから新型のモビルースーツを登場させ始めた。

 初代・機動戦士ガンダム(一年戦争)は舞台が

スペースコロニー(宇宙)  →  地球上  →  宇宙

と移っていったが、新型のジオン公国軍モビルスーツは地球上に舞台が移ったタイミングで登場する。「無重力、低重力の宇宙空間と異なる地球上での戦闘では、それに適したモビルスーツが新たに必要であったから」ということで、説得力のある登場の仕方になっていたと言えよう。

 具体的には「グフ」、続いて「ドム」が登場したが、これらは最初唯一の敵モビルスーツだった「ザク」と同様の人間体形型(8等身で首がある)であった。

 だがその後、土の中(地下)水中が舞台になると、流線型体形を持ったモビルスーツが現れる。水中や土中では人間体型のままのモビルスーツでは戦闘や移動に適しているとは考え難かったからであろう。
 このようにして人間体形とはかなり違う、水陸両用型モビルスーツ

左がゴッグ、右がアッガイ、奥に隠れているのがゾック
アニメの絵は後述のガンダムII映画用パンフ参照

「ゴッグ(MSM-03型)
「アッガイ
(MSM-04型)
「ズゴック
(MSM-07型)
「ゾック
(MSM-10型)

が誕生したのである。

 その後、初代機動戦士ガンダムの舞台が宇宙に戻ると、モビルスーツも再び「人間体形」型を基本とするようになり、「ゲルググ」「ギャン」「ジオング」などが登場した。

 このように「水陸両用モビルスーツ」登場の背景には地下や水中などの多様な場所が舞台になったということが大きな要因としてあったのだと思われる。

 なお真城悠氏の「ロボット雑感」では「ガンダム」は(リアル系ロボットアニメに分類されるというより?)「非常に良く出来た『スーパーロボットもの』である」と結論づけ、それを裏付ける理由の一つとして「水陸両用モビルスーツ」の体型が人間的でなく、スーパーロボットもので敵役となりがちだった「怪獣」のような体型であることに注目しているけれども、私・高崎は(アニメ作品『機動戦士ガンダム』のアニメ上の分類はともかく)水土中型モビルスーツを怪獣に比するのは賛同し難い

 というのも、水中や土中での活動でのリアルさの追求した場合には人間体形のままでいることの方がむしろ不自然で違和感があると考えるからであり、またそのことを「スーパーロボットもの」の理由として挙げた場合、一連のモビルスーツすなわちMSM型モビルスーツ4機種が人間体型である「ドム(MS-09)」と「ゲルググ(MS-14)」の間に登場している点を説明できないからである。

●ガンダムシリーズでの水陸両用モビルスーツの運命

 ともあれ、その後のガンダムシリーズではこの「水陸両用モビルスーツ」はどうなるのであろうか?

初代・機動戦士ガンダムの続編、機動戦士Zガンダムでは水中用のモビルスーツとして「マリーンハイザック」というモビルスーツが出てくるが、名前の通り、ザクというかグフというか、いずれにせよ地上で活躍する「人間体形」型モビルスーツの系列であり、何の面白みもない。

 続編である「機動戦士Zガンダム」では地球上が舞台になる話がかなり存在するのだが、上に挙げたような流線型タイプの「水陸両用モビルスーツ」に相当するモビルスーツは結局ほとんど登場しなかった。
 その経緯には以下の悲劇があったのだ。

 機動戦士ガンダムが「ガンプラ」として爆発的なヒット商品になった結果、それ以降の作品ではオモチャメーカーのバンダイが 後続作品のモビルスーツデザインに五月蠅く口を出すようになったらしい(この経緯はWikipediaの「機動戦士Zガンダム モビルスーツデザイン」の項を参照のこと)。これがモビルスーツデザインの陳腐化をもたらしたのである。

 すなわち、アニメが作られる際に、ロボットのデザインとして、それまでの超合金などの系統を引く、商品化しやすい、あるいは商品化した時に体の良いデザイン(要はオモチャとして売れるデザイン)が露骨に要求され、作品内容と切り離されたデザインコンセプトを押しつけられてしまったのだ。

 その結果、アニメのメカニックデザイナー達は、ヤル気を無くしてしまい、機動戦士ガンダムでのモビルスーツデザインは、ファーストガンダムでもたらされた斬新さとはほど遠い、だめだめなもの、どれも似たようなものばかりになってしまったのだ。

私の友人は言う。ファーストガンダムでは、少しファンならばモビルスーツが印象に残る戦いの名場面をいくつも思い出せるであろう。

・グフの場面「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」
ドムの「ジェットストリームアタック
・ガンダムハンマーを受け止めるゴッグ
・ジオング
の「足なんて飾りです

 それに比して、モビルスーツが印象に残るような戦いの名場面が、機動戦士Zガンダムではどんなに少ないことか!

 しかも初代・機動戦士ガンダムでのモビルスーツの登場場面は、気候・風土に密着して登場し、印象を一層強く残させていることに気が付く。

  • スペースコロニーに乗り込むザク
  • 砂漠で登場するグフ(搭乗員は印象深い豪傑・ランバ・ラル
  • 森林周辺の平坦地帯でガンダムと渡り合うドム(搭乗員は黒い三連星
  • 水中から上陸攻撃をしかけるゴッグ
  • 岩場で活躍するアッガイ
  • 湖沼地帯を進むゾック
  • 水中でも地下でも縦横無尽のズゴック
  • まあ言われてみりゃ確かに宇宙では足はいらんわな、と納得させるジオング

 すなわち、既に当初からオモチャメーカーからの圧力は受けていたとはいえ、ストーリを展開する上で十分に納得できるような形でしか新型モビルスーツが登場していないことが分かる。
 これも初代「機動戦士ガンダム」に出てくるモビルスーツ達を(水陸両用4機種も当然含めて)非常に印象深いものにしている理由だと私は考える。

 だが、ロボットデザイン・ロボット設定はダメダメだった「機動戦士ガンダム」も、ストーリー的には紛れもなく初代「機動戦士ガンダム」を受け継ぐ優れた作品であり(※)、成功を見、その成功がその後の「ガンダム」シリーズを継続させる大きな契機となった。

(※)Zガンダムに対する評価についてはストーリーに関しても一般に高いわけではなく、むしろ賛否が大きく分かれている。その理由もWikipediaの「劇中における混沌さ」の文章がかなり参考になるだろう。
 私・高崎は初代「機動戦士ガンダム」が当時のアニメ界にもたらしたストーリーの雰囲気と設定(人物や勢力)の斬新さ・魅力を、機動戦士
ガンダムが良い意味でも悪い意味でもよく受け継ぎ、さらには全体として初代の焼き直しになるのでも、それ以前の旧タイプの「スーパーロボアニメ」型に退歩するのでもなく、それを(「混沌」という方向だったにせよ)押し進めた点で評価している。

 けれどもそれが故に、いや、それが成功すればするほど、おもちゃメーカーが商業的成功の旨みに手を出してくることを阻むのは困難となり、その後の「ガンダム」シリーズでは「機動戦士ガンダム」の「ダメダメなロボットデザイン・設定路線」が継承されてしまう。
 私はZZガンダムを未見だけれども「はてなダイアリー 機動戦士ガンダムZZ」を読むとそれは明らかである。結局ガンダムシリーズは人間ドラマの奥深さの部分だけが初代から継承され、ロボット等の設定についてはオモチャメーカーの餌食になり、むしろそれまでのスーパーロボットものアニメを引き継ぐこととなったようだ(※)

(※)このページでは私がお気楽な身分であることを良いことに、おもちゃメーカーをけちょんけちょんに批判する書き方をしてきたが、TVアニメーション、特に原作を持たないオリジナリティの高いTVアニメというものは、そもそも制作に莫大な費用がかかるものであり(しかも制作者に実際に携わる人々は給与などの面でも決して恵まれた待遇とは言えなかった)、オモチャメーカーが有力な協賛会社として存在するのはやむを得ないことであった。

 ともあれその結果、

水陸両用モビルスーツの運命も絶たれてしまったのである。

※なお、資料などを見ると、MSの異端児達はともかくとしても、その後の「ガンダム」シリーズの中で、ジオン水陸両用MSの流れを汲むモビルスーツも登場しているようだ。それらについての紹介は他の人たちのサイトを期待したいものである。(まあ私も気が向いて鑑賞することになったらこのページで扱う日もいつかないこともないこともないかもしれない.....)


水陸両用モビルスーツ考 2
 登場シーンと各モビルスーツ概観 アッガイ][ゴッグ][ゾック][ズゴック

 下記の記述の中でTV話のタイトル、話数には「Touka's file」の「機動戦士ガンダム全セリフ集」のサイトへ直リンクさせて頂いております。

水土中型モビルスーツの登場

・『機動戦士ガンダム』TV版第26話「復活のシャア

 この話ではレビル将軍がホワイトベースの乗組員達に、ジオン軍が新しいモビルスーツの開発を活発化させていることを述べる部分があり、その場面で水土中用と思われるモビルスーツの設計図が紹介される。これが事実上、水土中用モビルスーツの初登場であり、この話では続いてゴッグが活躍する。

 水土中用モビルスーツの登場はこの第26話から第30話に集中しており、特に第26話、第27話、第29話、第30話はそれぞれ「ゴッグ」「ズゴック」「ゾック」「アッガイ」がジオン軍モビルスーツの最新型MSとして登場し、水陸両用MSの登場を一つの見せ場にしていたことをうかがわせる。

  ゴッグ アッガイ ズゴック ゾック
第26話「復活のシャア  
第27話「女スパイ潜入  
第28話「大西洋、血に染めて    
第29話「ジャブローに散る    ◎
第30話「小さな防衛戦    

 それは一見、「ロボットはこのアニメでは主役ではない」というコンセプトからの変更、すなわちオモチャメーカー等の圧力や、初回放映時の視聴率の低さ(※)を打開するための窮余の方針変更だったかのようにも見える。

 だが私は必ずしも必ずしもそうではなく、水陸両用モビルスーツ達の登場はストーリー的にも十二分に説得力のある、そして連続TVアニメにおいて視聴者に飽きを来させないための導入だったと考えている。これについては前述の記述を参照されたい。

(※)よく知られていることだが「機動戦士ガンダム」は初回すなわち制作進行中の視聴率が非常に悪く、予定の50話以上を切り上げて43話になった。その後、口コミで評判になり、映画化で一挙に評判を得た。

 ただし、地球上での環境に適応したモビルスーツという基本設定の結果、登場回数(話数)には限度があり、当サイトで扱う水陸両用モビルスーツはいずれもマイナーなモビルスーツになってしまっている。参考までに検索エンジン大手での検索結果ページ数を調べてみよう。

 
検索名(なおいずれも「ガンダム」の文字列と一緒に検索している)2005/06/05 Google
検索結果
Yahoo!Japan
検索結果
ズゴック 32000 47765
アッガイ 26400 40815
ゴッグ 13200 19590
ゾック 9200 17332
(参考:ギャン) 19200 32780

 上の結果は以下で述べる各モビルスーツの有名さに関する記述とほぼ一致していると言える。

アッガイ(MSM-4型)

・『機動戦士ガンダム』TV版第30話「小さな防衛戦

 シャア専用ズゴックに率いられる場面で4機登場、ガンダム製造工場(実際にはジム製造工場)における偵察と隠密破壊活動に従事。「アカハナ(赤鼻)」「ラジュ(ラジム、ラジウ、ラムジ?)」「イワロフ(イワノフ、グワノフ?)」などがパイロットとして登場。

 結局、破壊活動は失敗、シャアの指示で即時撤退を決めるも、アッガイはガンダムに追撃され、四機ともが破壊・爆破された。この時シャアはガンダムについて「アッガイといえども、一瞬のうちに四機も仕留めたのか」と言われているが、この言葉がアッガイを評価する側なのか見下す側なのは今ひとつ不明である。

 なお、アッガイと言えば、ホワイトベースの乗り組み員として登場する子供達カツ・レツ・キッカの3人が暗い洞窟の中を進んでいるうちに、アッガイの頭の上を歩いて渡ってしまうシーンがあり、この場面は映画でも全面的に採用され、なかなか印象的なエピソードになった。

[コメント]

 アッガイの登場するシーンに水中は出てこない。アッガイが岩の間に縮まり込むシーンや洞窟の中を手(爪)を天井に突き刺してぶら下がりながら進むシーンなどがあり、それらの点を踏まえると、もともとは土中用(地下行動用)モビルスーツとして設定された可能性があると高崎は考えている。
 映画のパンフレットの中では「水陸用モビルスーツ」と紹介されているが、陸戦での機動力も水中に劣らないことが述べられているし、名称の似たボツキャラである「アッグ」(後述)が完全に地下(土中)用モビルスーツだったこともそれを裏付けている気がする。

 いずれにせよアッガイはTV版で第30話にしか出てこず、ガンダムストーリ全体の中では一部にしか出てこないマイナーモビルスーツ(映画版に出て来ただけマシだが...)だったのであるが、その後一部のガンダムファンの中で萌えキャラ」化して人気が出た。この経緯はWikipediaのアッガイ項目に詳しい。

 私・高崎はアッガイの人気の秘密として「頭が大きい幼児体形」にあったと考えている。動物学者のローレンツによると、哺乳類生物の幼児は以下のような特徴を持つ傾向にあり、それが種を越えてまで「かわいい」という感覚の母性本能を呼び起こし、生物としての防衛機能の役割を果たすという。

(参考:「男もするなり育児休職」の「赤ん坊と付き合う(3)」、氏家重信氏の「教育学講義」など)
 上の特徴をアッガイが持っていることは一目瞭然であり、このようにアッガイは当初から「可愛がられる」運命を持っていたと言える。

 なお、ガンダムシリーズでは初代・機動戦士ガンダム後に「SDガンダム」という、モビルスーツを2,3等身にデフォルメしたシリーズが出てかなりの人気の路線になっているらしいのだが、アッガイはデフォルメしなくてもそれに近い体形を持っていた。
 オリジナルのモビルスーツをデフォルメする行為については批判的な立場を取る人も少なくないようであるが(私もその一人だ)、そのような場合でもアッガイはオリジナルがそのような体形に近く、素直に可愛さを受け入れやすい。

 更にはパイロット達が一様に特殊工作員(特務部隊、特殊部隊)で、しかもかなり珍妙な制服を着ていたこと、搭乗員の一員が「赤鼻」と呼ばれる、見た目そのままの呼び人物であったこと(おそらくはニックネームであろうし、設定でもそうなっている)もアッガイのユニークさを印象づける結果になったのであろう。

 ちなみに萌えキャラ化したあとに「体育座り」の姿が「可愛いシーン」として持てはやされるようになったが、おそらく元ネタは安彦良和によるパロディ風挿絵だったと思われる。(映画「機動戦士ガンダム」IIパンフレット裏表紙参照)


ゴッグ(MSM-3型)

・『機動戦士ガンダム』TV版第26話「復活のシャア

 人間体形型でない新型モビルスーツとして登場した(搭乗はラサ、マーシー)。水中からの連邦軍北アイルランド基地攻撃作戦で威力を発揮。バルカン砲をモノともせず、ガンダムのハンマーを受け止めるほどの馬力でガンダムの搭乗者・アムロ=レイ(主人公)の舌を巻いた。

 だが所詮は敵キャラの運命、悲しいかな一機はGアーマーAパーツによる頭頂から全身を貫く砲撃で爆破され、もう一機は水中戦でガンダムの頭を掴む善戦をするも、アムロの機転(?)でモノアイと腹部をビームサービルで切られ、爆破した。

 余談であるが、最初に登場した際、搭乗員・ラサはゴッグの堅牢性を評価する「さすがはゴッグだ、なんともないぜ」という台詞を残し、そのガッチリとした体格と共にゴッグの特徴を象徴するものとなった。

・『機動戦士ガンダム』TV版第27話「女スパイ潜入!
 この回では後述のズゴックが登場し、マッドアングラー隊のフラナガン・ブーンはズゴックに比べるとゴッグが劣っていることに言及する。その後、再度の連邦軍北アイルランド基地攻撃にて登場。ゴッグは水上戦闘中のガンダムを水中から対空砲でミサイル攻撃後、ガンダムと水中戦闘、ビームライフルの攻撃で爆破される。

・『機動戦士ガンダム』TV版第29話「ジャブローに散る
 新型モビルスーツの「ゾック」に率いられて2機登場。偵察の任を果たし、続けてジャブロー攻撃に移る。基地内の入り口に入ったところで、ガンキャノンによる頭頂部から身体を貫く砲撃を受け、爆破された。

[コメント]

 萌えキャラ化したアッガイ、もともとスマートなデザインでシャア用も作られたズゴックと異なって、2005年現在でも比較的地味な存在である。
 だが、ズングリムックリしたその体形、水中推進に適した流線型の全身形、折り畳めるほど伸縮自在の腕など、水中用モビルスーツ(MSM系モビルスーツ)の典型として登場し、特にガンダムの武器・ガンダムハンマーを受け止めるシーンは多くの人々にこのモビルスーツの存在を強く印象づけた。

 設定ではもっとも初期に完成された水陸両用向けのモビルスーツとされ、実際TV版ではジャブローが舞台になってから3つもの話に登場しており、登場1回切りのアッガイ・ゾックとは一線を画していた

 ちなみによく間違えられる名称問題がある。

ゾック(MSM-10型)

・『機動戦士ガンダム』TV版第29話「ジャブローに散る

 新型モビルスーツとして「ゴッグ」2機を率い、ジャブロー攻撃前の偵察隊として登場。性能に関してシャアからの半信半疑の眼差しを受けたが無事偵察の任を果たし、続いてジャブロー攻撃の一端を担う。ガンダムに応戦するが、コックピットにガンダムからのビーム砲直撃を受け、戦闘続行不能となった。

 多くのモビルスーツがガンダムの攻撃を受けると爆発、炎上し木っ端微塵になることが多いのに対して、コックピット部分だけが爆破されたことはこのモビルスーツの堅牢性を象徴するものと言える。ちなみに搭乗パイロットはボラスキニフ。

[コメント]

 TV版第27話はゴッグ、第30話はアッガイが中心のストーリーなのに対して、第29話ゾックを主人公としたストーリーである。何しろ話の冒頭で新モビルスーツとして「ジャンプ力はザクの数倍」と紹介され、シャアの「使えるのか?」「見かけ倒しでなければいいがな」という言葉に対してヤル気十分のモノアイの動きを見せるなど茶目っ気たっぷりの登場をする上、後半ではシャアの指示を受けてシャアズゴと共にジャブローに侵攻する光栄に浴するのだから。

流石堅牢性を謳うモビルスーツだけあってビーム砲の直撃を受けてコックピットが破壊されても機体は爆発はしなかった。これはガンダムでやられるモビルスーツとしては異例である。

 だが戦いのシーンとなると、赤い彗星・シャアズゴの前で影が薄くなり、更には映画化にあたってはアッガイの登場するTV第29話が全面的に採用されたのに対して第30話はほとんど省かれてしまった為、一般に水陸両用MSM型4機の中では最も存在感の薄いモビルスーツとなってしまった。

 その一方で、表裏対象の特殊な形態、手があるのに戦闘で全く使われる様子が無いこと(撃破されて倒れるときに腕を若干前に出すのが唯一?)、足があるのにホバーでの動作が中心であったこと、頭頂だけを出しながら水面上を動く様子、などなど、他の水中用モビルスーツ、否、他のあらゆるモビルスーツには見られない奇妙な各種特徴は一度知ると注目せざるを得ないものを持つ。

 まあでも、前述のようなわけでファーストガンダムでの登場モビルスーツの中ではマイナーモビルスーツとしてギャンと1位を争うのは致し方あるまい。

 なお、当サイトで扱っている初代・機動戦士ガンダムの人気は根強く、2000年以降でもそれを舞台とする新しいゲームがしばしば出ている。

ゾックに関する資料の中には完全に歩行が不可能と記述しているものがあるが、ガンダムの場面では歩行で進むシーンが出てくる。

 それは嬉しいことなのだが、2000年以降に出ているガンダムのゲームで登場するゾックとして、4本足のデザインがかなり異なるゾック姿が使われるようになった。これが登場するようになった(というかデザインが変更された)経緯は不明であり、またこの点に関して設定として何か「こじつけ」をしているのかも不明である。

 ネット上の噂・意見では最初のデザインではホバーで移動という設定はどう考えても無茶(機械工学的に甚だしく無理)であるため、安定性のあるデザインにゲーム制作者達が変更した、などとも言われているようだ。とりあえず当サイトでは2本脚を正当としておく。

ズゴック

・『機動戦士ガンダム』TV版第27話「女スパイ潜入
 新型モビルスーツとして登場。水中から陸戦への攻撃でハヤトの操作するガンキャノンを苦戦に追い込んだあと、水中戦にガンダムを誘い込むが、カイの載るガンタンクとアムロのガンダムとの連携により撃破された。

・『機動戦士ガンダム』TV版第28話「大西洋、血に染めて
 モビルアーマーであるグラブロの攻撃と共に2機登場。一機はGアーマー、もう一機はカイとミハルの載るガンベリーからのミハルによる身を挺した攻撃により爆破された。

・『機動戦士ガンダム』TV版第29話「ジャブローに散る
 ジャブロー攻撃においてシャア専用の赤いズゴックを筆頭に、攻撃軍の一端を担う。

・『機動戦士ガンダム』TV版第30話「小さな防衛戦
 シャア専用ズゴックとして登場。ガンダム製造工場破壊作戦としてアッガイを率いて連邦側に侵入した。

[コメント]

 水陸両用とされるMSM系モビルスーツの中ではもっともスタンダードであり、代表とされる機種である。モビルスーツの有名度としては水陸両用4機種の中でピカ一で、ガンダム好きを称してズゴックを知らない人はモグリであろう。

 そこまで有名な理由はTV版では搭乗回数が他より多い(といっても4回?)こともさることながら、なんと言っても「シャア専用」である「赤いズゴック」(所謂「シャアズゴ」)がTV版・映画版共に登場し、シャアが搭乗してガンダムと華々しい戦闘を繰り広げた為であると思われる。
 だがあまりに人気があって記述しているサイトも既に多いので、当頁ではあまり取り上げない。


水陸両用モビルスーツ考 3
 雑考いくつかデザインの元は?][名称問題][MSの異端児達

●水陸両用モビルスーツ達のデザインの元は?

 前述のように、初代・機動戦士ガンダムにおける「水陸両用モビルスーツ」は動物の姿をイメージしてデザインされたと高崎は考えている。以下ではどのような動物・生物に基づいて各モビルスーツがデザインされたか考えてみる。

ズゴック・・・きっとカメ」(亀、龜)。頭の感じがいかにも甲羅って感じ。ただし具体的にはカメなどからイメージされたと思われるカッパ」(河童)のイメージも入っているのかもしれない(やっぱり頭の辺り)。

アッガイ・・・きっとモグラ」(土龍)。どう見ても「もぐら」。色に加えて、特に口先のすぼみ方が「もぐら」。ただしパロディ作品の中にはタコ(蛸)に比したものもある。

ゴッグ・・・これも多分モグラだけど、なんかカモノハシとかのイメージとかもあるのかも。...さらにはゴキブリのイメージを取り入れた可能性もあるんじゃないかと思ったり...

ゾック・・・「カエル」(かえる、蛙)?「カメ」(亀、龜)?

●名称と英語表記

 「ズゴック」「ゴッグ」「ゾック」に関しては名称の混乱がある。すなわち「ズゴッ」「ゴッ」「ゾッ」などに間違われることがしばしばある。

 特に顕著なのは「ゴック」で、これについては正式な出版物や公式サイトでも「ゴッ」と表記されている場合がしばしばある。
 古くは映画「機動戦士ガンダムII」のパンフレットから、最近のトイブックオフィシャルページ(実際に売られているトイブックの中では正しい表記になっている)[削除されアーカイブに残るのみ]、バンダイ商品解説(旧URL)ですら、その間違いすなわち「ゴッ」という記述の間違いを犯している。ちなみに皮肉にもトイブックの「ゴッグ」解説ページではこの問題に触れ、

一部の資料では、MSM-03は「ゴック」と表記・呼称されているが、これはジオン訛りの強い公国軍捕虜の発音を連邦の記録担当者が誤記したためかと思われる。
と書かれているが、オフィシャルな出版物・製品においても「ゴック」の誤表記のものが頻出しているために取り繕った「こじつけ」であるのは言うまでもない。

 この名称問題については、声を挙げて指摘している人は必ずしも多くなかったようで、とりあえず石破氏が指摘したもの(これこれ)やodaleex氏記述が見つかるのだけれども、結局のところ所詮マイナーキャラなので拘ってくれる人も少なかった、といったところが事実なのだろう。

 英語表記については「アッガイ」の表記が「AGGAI」「AGGUY」「ACGUY」の3つがあり、商品や本によって違っている。
 「ズゴック」は「Z'Gok」が正しい綴りのようだが「Z'Gock」と誤記されることもある。
 「ゴッグ」「ゾック」については通常「Gogg」「Zock」と表記される。
 ロマンアルバムのガンダムIIではゴックを「Gog」としているのはまあ良いとしてもゾックが「Zogg」としてあるあたり、水陸両用MSに対する扱いのいい加減さが感じられて残念である。

(...と書きつつ、当サイトも何カ所か間違えていました、汗)

●モビルスーツの異端児達ジュアッグ」「アッグ」「アッグガイ」「ゾゴック

 初代・機動戦士ガンダムに関する資料の中に、名前だけは「アッガイ」「ゴッグ」らに似たモビルスーツ「アッグガイ」「ゾゴック」などの名前を持つモビルスーツが出てくる場合がある。これらはガンダムブームが激しかった1980年代当時、おもちゃメーカーが少しでも販売売り上げを伸ばすためにわざわざ作り上げたモビルスーツだったらしい。完全に零から創作されたものではなく、ガンダムのTV版作成にあたって監督である富野由悠季氏が作ったラフデザインで、ボツになったものに基づいて作り出したものものあるようだが。

 このあたりについては

などが詳しいので、そちらを参照されたい。
(ちなみに「ジュアッグマニアックス」ではジュアッグのデザインを「ミツユビナマケモノ」ではないか、と推測していることに私は気が付いた。当サイトではMSM系統のモビルスーツは動物を元にデザインされたと考えているのと同様の考えをしている点で興味深い。)

 当時小学生でガンプラを集めていた私も、怪訝な思いをしながらそれらの製品を眺めていたのを覚えている。当頁ではこれらのモビルスーツは異端としてあまり取り上げない。


独自創作物

●コマ撮りアニメーション

■アッガイ2005/02作品(非常に大きいサイズなので注意です)

 GIFアニメ版(12MBくらい)/Flash版(6MBくらい) 

[コメント]
 MIAのアッガイで撮った。動きが細かすぎてのろい。その代わりにコマ撮りにしてはかなり動きを滑らかに出来た。MIAは実にコマ撮りアニメに適している気がする。ただし使っているウチに各関節が緩みそうだけど。

■ゴッグとゾック 2005/03作品

 GIFアニメ版(3.5MBくらい)/Flash版(2.3MBくらい)

[コメント]
 帰省中で手元にMIAがなかったので、新しく入手したフル可動の模型で実施。模型もアバウトだし、この前の時のように細かくするのも疲れるので、思い切ってかなり動きを省略したところ、やはりかなり荒い動きになった。いかにも(素人がする)コマ撮りという感じになったので些か残念。


3「資料・製品紹介、リンク集」の頁へ行く

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